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5.色の力学 マーケティングにおける色彩心理学の使い方

どうもかぁさんです。前職外資系マーケティングとMBAで学んだ内容の中から「ビジネスの基本さいしょの一歩MBA」シリーズキャリアブランクの間にだいぶ錆びてきている部分、見逃していた新しい動きなんかも勉強しながら書きながら整理をしています。さぁ第五回「5.色の力 マーケティングにおける色彩心理学の使い方です。前回第五回の予告で「リサーチってなんだ?知っているというのはかなり強い」としていましたがそれは第六回にさせていただきます

 

「ビジネスの基本さいしょの一歩MBA」シリーズ ここまでのまとめ

1.  森と木を思い描いてみる。-コンセプトワークはじめ

2.で、森ってどうする?_Purpose/Vision/Mission

3.で、森ってどうする?_PositioningとMessaging

4.森(Big picture)はなんで必要?

5.色の力学 マーケティングにおける色彩心理学の使い方

 

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色のちから

色彩心理学という言葉を聞いたことがあるかと思います。

色が顧客に対して抱かせるイメージや誘導するムードを、マーケティングやブランディングにおいて使ってみましょうというお話です。

ショップ名を決める際の記事でも言及したように、言葉に対して持つイメージというのはすべての人にとって同じように作用するわけではありません。同様にモノやデザイン、そして色においても作用は同じにはなりません。それぞれの人にはそれぞれ異なった人生経験と記憶と趣向がありそれらの要素が作用(色によって抱くイメージや誘導される感覚)を違ったものにしますし、また同じ人であってもそれに出会うタイミングやコンテキスによっても異なってきます。

nagaremama.hatenablog.com

しかし、色から受ける暖かさや寒さ、重さ、軽さ、柔らかさ、固さなどなどのイメージについてある程度共通認識として一般化されている、という研究結果が出ています。

たとえば、元東洋大学教授野村順一氏の「色の秘密」に紹介されている実験では、黒く塗った箱より白く塗った箱の方が軽く感じられたとあります。体感重量では、白を100の重さとすると、黄色は113、灰色は155、赤は176、黒は187の重さになるといいます。同じものが黒は白より倍近く重く感じるってことなのね。

また暖色系で統一された部屋と寒色系で統一された部屋では体感温度が3℃程度も差が出るそうで、さらに暖色系の環境では寒色系の環境と比べ時間の経過が長く感じるという実験結果もあるようです。

また、ピーター・マンデル博士が開発したカラーバンクチャ―という療法では、色の身体レベルへの効果を以下のように整理しているとのこと。また、暖色系は脈拍数・呼吸数・血圧が高まり、自律神経統を刺激、性ホルモンの分泌を促進、筋肉緊張が増大、食欲・空腹感を抑制するというはなしもおもしろいですね。

赤  循環器を高める働きがあり、貧血・喘息・咽頭の病気・特定の皮膚病・慢性的な咳などに用いられる。
橙  精神疾患、憂鬱、不満、悲観主義に効果がある。自然療法では動脈硬化・食欲不振・貧血・拒食症に用いられる。
黄  新陳代謝、分泌腺の働きを活発にし胃酸の分泌を促進。自然療法では分泌腺・リンパ系疾患、神経系を強化する為に用いられる。
緑  分泌機能全般に働きかけ肉体の毒素排除を刺激促進。自然療法では気管支炎・関節炎・腫瘍・眼病・糖尿病などに用いられる。
青  青色の持つ安らぎと鎮静の質は痛みに良いとされ頭痛・偏頭痛・胃痛・筋肉のコリなどに対して用いられる。
紫  精神と肉体の間の領域を調整する働きがある。特にカラーパンクチャーではリンパ系脾臓に対して使われる。

 出典:SUBTLE ENERGY

色から連想される心理的イメージ

 それぞれの色がもっているある程度の共通認識としてみられる心理的イメージをざっと頭に入れておくと便利でしょう。

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出典:Color Meanings & Symbolism Chart

日本語のものも発見。

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出典:日立ソリューションズ

配色を決めるのに便利な色のルール:色相環を知っておこう

 さて、それぞれの色がもたらすイメージや作用がわかったところだが、どう組み合わせるべきか、とうのもとても大事だ。目立たせろ目立たせろと強い色ばかり使われたスーパーマーケットの広告に目がちかちかして見る気がうせてしまったことはないだろうか。どのような配色が調和がよく、どのような組み合わせでアクセントカラーを選ぶべきか、なんとなくの感覚に頼ってしまうところだが、こんないいルールがある。

色相環とは色相を順序立てて円環に配置したもの。

色は3つの要素を持っていて(色相、彩度、明度)、つまり色相とは色から明るさと鮮やかさという要素を抜いて残るベースのことと思っておけばよい。

色相環にもいろいろ種類があるようだが、基本的な理解としては順序立てて並べられた色相を20等分や40等分しその配置によってそれぞれの色の関係性をみることができるというもの。

 

いろいろ参考になる組み合わせがあるようだが、基本としてとりあえず以下だけ覚えておこう。

Complementary 補色

正反対の色。アクセントカラーをテーマカラーをもとに選ぶ際に参考になる。

Analogous 同系色、類似色

まとまりやすい。変化に乏しくなる点を注意。

Triadic なんて訳すんだろう三協和色?

ちょうど120度の差がある組み合わせでまとまりやすくなる。

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出典:Kiss Metrics

PCCS(日本色研配色体系:Practical Color Co-ordinate System)の色相環

 

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マンセルの色相環

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配色のコツはこのサイトもとても参考になる!

COLOR NOTE > 配色のコツ > 色彩調和

マーケティング、ブランディングへの活用

The Psychology of Color in Marketing and Branding

誘導したいイメージやムードを考慮する

上記のそれぞれの色がもつ作用を誘導したいイメージやムードに応じて応用していく。ブランドイメージにあてはめるということだ。

以下のチャートで、それぞれの色の持つコードとフィットする業種が整理されていておもしろい。堅実で信頼できるというコードを持つ青は、金融機関やエネルギー供給や航空会社に、先進的でエネルギッシュなコードを持つ赤はIT企業やレストランなど。

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出典:Merketo.com

 この下のチャートは、グローバル企業のロゴが何色でそれぞれの色の持つエモーションとどうつながってるかを一目でチェックできるいい図です。

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出典:The Logo Company

誘導したいアクションを考慮する

上記のそれぞれの色がもつ作用を誘導したいアクションに応じて応用していく。

銀行の待合室などである程度長時間待ってもらいたい場合は、ネガティブな感情が軽減され時間の経過が遅く感じるように寒色系内装と安らぎを感じるやわらかい緑のソファがよいだろうか。

何かの謝罪や誤解を解くべき説明などを読んで納得してほしい場合は、誠実さのイメージの青と公平さ安心のイメージの緑あたりを使うのがよい。

購入やダウンロードなどの購買アクションにつなげたいときはサイト全体からの補色で目立たせて、さらに赤色で交感神経に刺激を与え疑似的に興奮した状況でアクションを促す。

実験で裏付けもあるのだね。同じ内容のページで最後のアクションにつなげるボタンをそれぞれ緑と赤にして2ページ用意、さて結果は赤のボタンは緑よりも21%も多くのコンバージョンを得たって!

blog.hubspot.com

 

 

まとめ

色の効用いろいろを、マーケティングの視点で考慮する重要性と面白さに改めて気づきますね。

顧客に持ってもらいたいイメージとムード(ブランディング)に利用、そして顧客に行ってもらいたいアクションに誘導するために利用。

色の効用を利用するメリットとしては、顧客が「自分で決めた」と思えることにあります。言葉でのメッセージや、価格や限定感を押すキャンペーンなどで顧客が動く場合よりも、色の効用で動く場合のほうが自分の感性で選んだんだ、自分がこうしたいから選んだんだという感覚が残りやすいということです。そしてこの「自分で決めたんだ」感というのは、交渉テクニックやミーティングテクニックでもありますが、とても強いエンゲージメントを生むのです。この辺の人の心理を考慮したソフトスキルについてもいずれ記事にしようかな。

さて、「ビジネスの基本さいしょの一歩MBA」シリーズ次回は前回の予告どおり「リサーチってなんだ?知っているというのはかなり強い」をやってみようと思います。